印紙税に関する最初の法令は明治6年公布の「受取諸証文印紙貼用心得方規則」で、当時は日々の取引で使う「通帳」や「判取帳」など一部の文書だけが課税対象だった。
明治32年公布の印紙税法で株券・社債や為替手形、保険証券が対象となるなど課税される範囲は広がったが、いずれも「紙」による取引の文書を前提としている。この点が、電子文書でのやり取りが一般的となった現在の商慣習との間に齟齬を生じさせている。
同じ取引でも、紙で取り交わす契約書などには課税され、PDFなどの電子データとして取引先に送信する契約書には課税されない状態となっている。税コストを削減するためには請求書や領収書の電子化促進が欠かせないが、そもそも印紙税を全廃すれば済む話だという声も高まっている。(2020/06/05)