隣人も通る私道

相続時の財産評価7割減


 相続財産の中で土地の占める割合は年々減少傾向にあるものの、それでも全ての財産の4割近くを占め、現預金や有価証券よりも多いことに変わりはない。

 

 土地は、その評価が難しいために、納税者と国税当局で判断が分かれることも少なくない。いかに土地の評価額を適正に算定できるかが、申告のカギとなるだろう。

 

 評価が難しい土地のなかでも、特に判断に迷うのが私道の扱いだ。しかも近所の人だけが利用する私道は財産に含むことを忘れがちなので注意したい。

 

 近隣の住民だけが通るような私道は、原則として、その私道を宅地であると仮定した評価額の30%で算出すると定められている。さらに相続人が被相続人と同居していた親族であるなど「小規模宅地の特例」の適用条件を満たせば、宅地と併せて最大330㎡までの面積の評価額を8割減らすことが可能だ。

 

 私道の評価額を7割も減らせる理由は、近所の人も利用していることから、土地活用の自由度が制限されているためだ。さらに、通り抜けることが可能で、近所の人のみならず不特定多数が利用する私道は公共的なものとされ、相続税の課税対象にならない。

 

 家の所有者だけが使っている私道は、小規模宅地の特例が適用できるものの、評価額を30%に下げる特例は受けられない。また、近所の人だけが利用する私道は、宅地がその私道と公道に接していて、私道を使わなくても公道に出られるのであれば、やはり特例は使えない。(2020/11/09)