親族による盗み

雑損控除の対象になるの?


 災害や盗難などの予期せぬ被害を受けたときに、被害者救済のためにある税制上の措置が雑損控除だ。

 

 震災から横領まで、困った人を幅広く救ってくれる制度だが、被害の範囲に詐欺と恐喝は入らない。自分がしっかりしていれば遭わなかったと想定されるためで、「予期せぬ被害」とは言えないという考えからだ。「やられるほうに隙がある」とは、なんとも前時代的な感じもするが、今のところは自分の身は自分で守るしかなさそうだ。

 

 ところで、本来なら雑損控除がすんなりと認められる「盗難」であるが、適用が極めて難しいケースがある。それが、子どもなど親族による犯行のときだ。

 

 親族から金品を盗む行為を「親族相盗」というが、これには無罪もしくは刑が免除されるといった特例措置が設けられている。そのため、盗まれたのが本当であっても返還請求せずに、結果として贈与扱いとなることも少なくない。税制上、雑損控除が認められにくいのもそのためだ。

 

 ただし当局が適用に慎重になっているのは、あくまでも盗難がナアナアになっていることが多いため。親子といえども警察にきちんと被害届を出して犯人(子どもなど)に返還を求めている証拠があれば、雑損控除が認められることもあるかもしれない。(2018/04/27)