親子間での不動産の賃借契約では、実際には家賃が発生していないケースがままある。いわゆる〝タダ貸し〞の状態だ。こうしたケースでは、相続が発生した時に思わぬ税負担が課される可能性がある。
土地を相続する際に、評価額を抑えられる特例として最も一般的なのが「小規模宅地の特例」だ。その宅地に被相続人が住んでいたか事業に使っていれば、最大で評価額を約8割も減らせるため、不動産の相続税対策を考える上で同特例を外すことはできない。
この小規模宅地特例では、「事業と称するに至らない不動産の貸し付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの」についても、適用を認める規定を置いている。つまり「相当の対価を得て」いなければ、その土地は小規模宅地特例を使えない。
家賃を取らない〝タダ貸し〞は、事業用にも居住用にも該当せず、評価額を減額できないということになる。相続税の負担が大きく増えることになってしまうわけだ。(2019/12/16)