所得税の税額を計算する際にややこしいのは、所得の種類によって「総合課税」と「分離課税」に分かれていることだろう。
所得は、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、利子所得、配当所得、譲渡所得、一時所得、雑所得――の10種類に分けられる。余談だが、税理士試験の受験生は各所得の頭文字を取って「富士急で退散し、利子配当を譲渡して一気に雑所得」などと覚えるらしい。
所得税は基本的には総合課税がベースで、各所得を合計して税額を決めることになっているが、一部はその総額計算から除かれる。それが、退職所得と山林所得、それに株で儲けたときの譲渡所得や銀行預金にかかる利子所得、そして雑所得などだ。
これらは大きな所得になることが多く、総合課税で計算すると所得税額が跳ね上がってしまうことから設けられたルールとされている。利子などはどれだけあっても一律20・315%の税率で済むようになっているため、富裕層への優遇措置であるとして見直しを求める声も根強い。(2020/05/11)