相続税を物納

国宝級の美術品なら優先的に


 相続税を納めたくても手元に現金がなければ、納税を先延ばしにする「延納」の利用を検討することになる。延納でも全額の納税が困難なら、金銭の代わりにモノで納税する「物納」の適用が可能だ。複数の財産がある場合は物納できる順番があり、不動産、証券、株式が上位で、動産はそれらの財産がない時に限り物納が可能となる。

 

 ただし例外として、動産でも「登録美術品」に限っては最優先で物納することができる。登録美術品制度は、重要文化財や国宝のほか世界的に優れた美術品を国が登録する制度で、登録された作品は国が指定した美術館で公開されることになる。

 

 相続が発生した時にはほかの美術品と異なり、国債や不動産と同じ順位で物納できる。ただし、相続が発生してから相続人が登録申請しても物納の優遇制度は適用できない。相続開始時までに登録されているものに限られる。

 

ちなみに美術館で公開中の登録美術品には、クロード・モネの絵画「ルエルの眺め」(埼玉県立近代美術館)、ウジェーヌ・ブーダンの絵画「ノルマンディーの風景」(同)、筑前左文字の太刀と短刀(ふくやま美術館)などがある。

 

 いずれも国宝級のものばかりで、数十万円で購入したような美術品の登録は不可能のようだ。(2019/02/01)