棚卸資産の「陳腐化」基準

売れない理由を明確に


 棚卸資産の時価が下がったとする。このとき、会社が評価替えしても減額分は基本的に損金に算入されない。なぜなら、その商品などを販売しない限り、価格下落による損失が発生しないためだ。

 

 ただし、会社の経営が傾いて民事再生手続きが決定されたときや、資産が「災害で著しく損傷したとき」、さらに「著しく陳腐化したとき」は、例外として損金算入できるとされている。

 

 倒産や災害は分かりやすいが、常に微妙な判断になるのが「陳腐化」だ。売れ残った季節商品で、今後は通常価格で販売できないことが明らかであるものなどがこれにあたる。

 

 商品に欠陥がないにもかかわらず、環境の変化などで価値が著しく減少し、その価値が今後回復しないと認められる状態にあることが、「著しく陳腐化」したと認められる条件。12月の季節モノであるクリスマスツリーなどは、翌年も販売できるため、これには当たらない。

 

 衣料品でアパレル業界の人にしか分からない「流行遅れ」という判断だけでは、その商品が「著しく陳腐化した」と税務署に認められるのは難しい。納税者としては「なぜ陳腐化したといえるのか」を文書にしておくほうが無難だといえる。(2018/03/23)