後妻の連れ子への相続

養子縁組を申請


 まもなく還暦を迎える会社経営者のAさんは、ある日、ふと相続のことが気になり、ネットで調べてみた。そこで、まだ小学生の3人の子どもたちが法定相続人になれないことを知って驚いた。この子らは、前妻と別れた後に再婚した後妻の連れ子であり、自分と血のつながりはない。Aさんは子どもたちを溺愛しており、自分の死後は遺産で支援できればと考えていた。

 

 さらに調べると、子どもたちが相続人となるためには、養子にして、法律上の親子関係を結ばなければならないことも知る。だが別のサイトでは、「相続税の計算上、養子を法定相続人に含める人数には制限がある。被相続人に実子がいると1人が限度」と書いてあり愕然とする。

 

 Aさんには前妻との間にもうけた現在41歳の息子がいる。もちろん、実子にも相続はさせたい。どうしたものかと、会社の顧問税理士に改めて相談すると、「配偶者の連れ子で被相続人の養子となった者は、『実子』とみなされ養子の数の制限を受けません」との回答を得た。胸を撫でおろしたAさんは、養子縁組の申請を行った。

 

 まずは3人の子の母親である妻を喜ばそうと帰宅して報告。すると、「家庭裁判所に申し立てれば前の奥さんとの子どもを相続人から外すことができるそうよ」と微笑。Aさんは、「そこまでやるの…」と苦笑いした。ちなみに相続人の廃除は、相続人が被相続人を虐待するなど相応の理由がない限り認められない。(2017/12/15)