役員に死亡退職金を支給

カギは功績倍率


 役員への「死亡退職金」の支給額は株主総会などでの決議を経た額になる。ただ、決議があったとしても青天井というわけにはいかない。通常の役員退職金と同様、税務署が「不相当に高い」と判断すれば、その部分は損金算入されない。

 

 役員の死亡退職金額の設定には、「死亡した役員の最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率」という算式が用いられる。この「功績倍率」には明確な定めがないため、税務当局と納税者の間で争いになることが多い。

 

 高い功績倍率を設定したければ、会社への貢献度を示す必要がある。このときも、一般的な金額から逸脱すると当局から追及される恐れが高い。また、役員の死亡で社葬を執り行うことになれば、会社の負担した金額のうち「社会通念上、通常に要する」と認められる金額については、福利厚生費として損金に算入しても差し支えないこととされている。

 

 なお、業務上の災害で死去したとしても、原則として役員に労災は適用されないし、そもそも加入できない。だが例外として従業員300人以下(金融、保険、不動産、小売業は50人以下、卸、サービス業は100人以下)の企業であれば役員も特別加入できる。さらに業務上の一般労働者と同様の事故によるものであれば保険給付の対象となる。(2020/03/25)