国税である所得税は、①給与所得者で、②その年中に支払いを受ける給与等の金額が2000万円以下で、③1カ所からしか給与等の支払いを受けておらず、④給与所得および退職所得以外の所得金額(不動産所得、事業所得や雑所得など)の合計額が20万円以下――であれば、確定申告をしなくてもよいことになっている。
これは少額の所得については税務申告を簡素化するための仕組みで、例えば原稿料は支払時に所得税を源泉徴収する制度がとられている。
しかしこれらの所得について、何も申告しなくていいかといえば、そうではない。地方税である個人住民税では、所得税のように源泉徴収する制度がなく、さらに少額を理由にして申告不要とする規定もないため、所得金額がいかに僅少であっても申告が必要だ。
少額所得について所得税の申告をすべきかどうかは、還付を受けられるかどうかをしっかり確認して判断したい。所得税の確定申告書を提出すれば、国と地方の間で情報がやり取りされ、個人住民税の申告は必要ないことも覚えておきたい。(2021/01/08)