コロナ禍で社長が会社に貸付

相続課税に要注意


 コロナ禍で資金繰りが厳しくなったため、社長個人が一時的に会社にお金を入れたとする。オーナー企業ではよくある話だが、こうした貸付金は社長の身に万が一のことがあると、すべて相続財産として課税対象となってしまう。

 

 これを解消するには、赤字決算のタイミングで社長が債権放棄し、会社に生じた債務免除益を繰越欠損金と相殺する方法が考えられる。額が大きければ数年にわたって赤字の範囲内で債権を放棄していくことで、債務免除による法人税負担を負わずに済む。

 

 設備投資など大きな支出のある事業年度にタイミングを合わせて債権放棄し、大きな金額を相殺するという方法もある。また生命保険を使って、支払保険料のうち損金計上する額と同額を債務免除して、満期時に会社が受け取る保険金から残額を返済するというやり方も考えられる。

 

 さらに、債権にかかる相続税負担と債務免除益にかかる法人税負担を比べた上で、あえて法人税を受け入れるというのもひとつの方法だ。相続財産や会社の規模にもよるが、中小法人には法人税の軽減税率が認められているため、相続財産が3千万円超であれば法人税のほうが〝おトク〟というケースも多いだろう。(2021/01/06)