名義保険の相続・贈与

税務署のチェック厳しく


 名義保険で生じる相続税・贈与税の申告漏れを防止する税制改正が、1月から実施されている。生命保険の契約者変更時に調書提出が義務付けられ、また支払調書の記載項目が詳細になった。

 

 名義保険で税務署がチェックしたいのは、次のようなケースだ。保険契約者を「父」、被保険者を「子」とする。生命保険の契約期間の途中で、契約者を父から子へ変更し、子が解約返戻金を受け取ると、父から子へ贈与が発生したことになる。また、保険契約者の父が死亡し、契約者を相続人である子に名義変更するとき、解約返戻金は亡くなった父から子への相続財産とみなされる。

 

 だが、今までこうした変更を税務署は正確に把握できていなかった。そこで「保険会社は、生命保険での死亡による契約変更の際、契約者の変更情報と解約返戻金額を記載した調書を、税務署長に提出すること」「保険会社が提出する支払調書に、過去の契約変更履歴や払い込んだ掛金の情報などを記載すること」の2点を義務付けた。

 

 この改正で、税務署による名義保険へのチェックがより厳しいものとなるのは明らかだ。今後は「名義保険」の状態で相続や贈与が生じることも念頭に、相続手続きの書類や贈与契約書、通帳・印鑑の保管・管理をしっかり行う必要があるといえる。(2018/02/23)