マンション管理組合の収益事業

会報紙誌の購読収入は非課税


 マンション管理組合は法人格を持たない団体ではあるものの、法人税法では「人格のない社団等」とされるため、収益事業から生じた所得については法人税が課税されることになる。

 

 法人税法上の収益事業とは、「販売業、製造業その他政令で定める事業」で、継続して事業場を設けて営まれるものを指す。具体的には、同税法施行令第5条1項の34業種のいずれかに該当するものとなっている。

 

 34業種とは、物品販売業や製造業、運送業、理容業など、幅広い商いが網羅されているが、実際にマンション管理組合が行う可能性のある事業の収益としては、携帯基地局設置収入や広告看板設置収入、駐車場サブリース、電柱設置収入、自動販売機設置収入、CATV設置収入、インターネット設備設置収入などが考えられ、国税庁の質疑応答でも、これらは収益事業として課税対象になるとしている。

 

 一方、収益事業に該当しないと考えられるケースとしては、資源ゴミの回収奨励金や組合員を対象にした年数回程度のフリーマーケット収入などが挙げられる。また、自動販売機の設置などで業者から受け取る電気代についても、実費負担した経費精算にすぎないため収益事業には該当しない。

 

 判断の難しいものとしては、管理組合の広報紙誌が「出版業」に該当するかどうかだが、法人税法施行令では、「特定の資格を有する者を会員とする法人がその会報その他これに準ずる出版物を主として会員に配布するために行うものおよび学術、慈善その他公益を目的とする法人がその目的を達成するため会報を専らその会員に配布するために行うもの」は課税対象から除くとされている。つまり、主に組合員向けに配布するものであれば、たとえ対価を得ていたとしても出版業には該当せず、課税されることはない。(2020/12/18)