ブラックバイトに目を光らせる労働Gメン

年間900件を送検


 労働基準監督署は厚労省の出先機関で、「労働Gメン」とも呼ばれる労働基準監督官がいる。海上保安官や麻薬取締官などと同様に特別司法警察職員として、犯罪の捜査や被疑者の逮捕、送検を行うことができる。

 

 重大、悪質な事案については、労働基準監督官の判断で犯罪としての捜査を開始し、刑事手続きへと移っていく。送検件数は減少傾向にあり年間900件程度となっている。労働基準監督官が扱う法律は労働基準法をはじめとする労働関係法だが、そのなかでも最も重い罰則が労基法5条の「強制労働の禁止」だ。

 

 使用者が、暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって労働者の意思に反して労働を強制した場合に適用される。1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金。

 

 この罰則は、労働を「強制した場合」に適用される。実際に労働させなくても強制した時点で罰則の対象となるわけだ。最近では、学生の「ブラックバイト」などが問題になっているが、十分に同法の対象となる行為だ。労働法の違反は一般の刑法違反となんら変わりはないという意識が不可欠だろう。(2020/08/26)