カードの盗難被害

不正使用されても控除は実損のみ


 警視庁によると、2017年の都内での侵入窃盗件数は5237件で、前年比0・1%増となっている。13年の7756件と比べると67%にまで減っているが、それでも1日に15件近くの空き巣が発生していることになる。

 

 税務上、盗難によって損害を受けた資産は雑損控除として一定金額の所得控除を受けることができる。雑損控除の対象となる資産は、生活に通常必要な住宅、家具、衣類などとされており、事業用の資産や別荘、書画、骨とう、貴金属などで1個(または1組)の価額が30万円を超えるものは当てはまらない。

 

 ただし、雑損控除の対象となるのは、被害の防止費用と「実際に発生した損失」のみであるため、クレジットカードが盗まれても、そのカードの記名人に損失がなければ、雑損控除の対象にはならない。

 

 カードを盗まれて50万円を不正使用され、そのうちの20万円を自己負担したというのであれば、その分については「実際に発生した損失」となるため雑損控除の対象として処理することができる。なお、単にクレジットカードを「紛失した」という場合には、誰かに拾われて不正使用されたとしても雑損控除の対象とはならない。(2018/06/15)