アパート経営の「事業的規模」とは?

小規模企業共済では「5棟10室」が基準


 個人事業主が退職金の代わりに受け取る小規模企業共済の共済金(一時金)は、会社員が受け取る退職金と同様に税優遇を受けられる。共済金にかけられる税金の計算方法は、受け取った額から「退職所得控除額」を差し引き、その半額を課税所得として所得税率を掛けて算出するもので、一時所得などほかの所得区分と比べ税負担が少なく済むことになる。

 

 退職所得控除額は加入期間が20年以下なら「40万円×加入年数」(下限80万円)、20年超なら「800万円+70万円×(加入年数―20年)」となる。

 

 小規模企業共済の加入者に対する税優遇は他にもある。加入者は毎月支払う掛金の全額を所得から差し引くことが可能だ。掛金は1千円から7万円までの範囲で500円刻みで自由に選べる。

 

 さらに、加入していた人が死去した時に遺族が受け取る一時金は、会社員の遺族が受け取る死亡保険金と同様に、「500万円×法定相続人の数」までは相続税が課税されない。

 

 小規模企業共済に加入できる事業の規模は、建設業、製造業、運輸業、宿泊業・娯楽業、不動産業、農業であれば従業員20人以下、卸売業・小売業、サービス業(宿泊業・娯楽業除く)であれば5人以下となっている。

 

 アパート経営については貸付業務が「事業的規模」に達していないと加入できない。その境界線は「5棟10室」という基準で判断する。すなわち一戸建てなら5棟以上、アパートでは10室以上を賃貸していれば事業的規模と判断され、一定の条件をクリアすれば共済に加入することが可能となる。(2018/08/28)