社長さんが会社に貸し付け

放置していると相続税の課税対象に


 取引先への支払いが滞りそうになったときの当座の運転資金として、会社が社長からお金を借りることがある。こうした借入金は、すぐに社長へ返すことができればよいが、返すあてのないまま放置せざるを得ないことも多い。

 

 そうなると、社長の相続の際のトラブルの芽となりかねない。会社が返せなくても、社長の相続財産として課税されてしまうため、相続人が税金を納めなければならないからだ。

 

 社長の貸付金への相続税の課税を免れるためには、社長が生前に債権を免除する方法がある。ただし、社長から債権を放棄してもらった会社には債務免除益という利益が発生するので、法人税の納税額を計算に入れて実行しなければ損をしてしまうことがある。

 

 債権放棄をしてもらうのなら、会社が赤字のときにしたい。債務免除益を赤字で相殺すれば法人税をおさえられる。数年にわたって赤字の範囲内で債務免除を受ければ相続税と法人税を課税されることがなくなる。

 

 社長からの貸付金が多いと銀行からの融資に悪影響が出るとも言われる。社長の相続が起きる前に早めに対策を講じたい。(2018/08/27)