「みかじめ料」の経費処理

理不尽な支払でも交際費や寄付金に?


 反社会勢力が自分の〝縄張り〞だと称する地域の事業者に対して、ショバ代(場所代)や用心棒代などの、いわゆる「みかじめ料」を要求してくることがある。

 

 ここ数年は暴対法や暴力団排除条例などによって警察当局の取り締まりが厳しくなり、以前ほど堂々と金品を要求してくるケースは減っているようだが、それでも根絶したわけではない。

 

 「みかじめ料」は理不尽な支払いではあるが、資産の流出について企業としては何らかの処理をしなくてはならない。

 

 まず考えられるのは、会社に経営者からの借入金がある場合に、それを返済したかたちで処理する方法。次に、「その筋」に金を払ったという事実を絶対に表には出せないという場合、使途秘匿金として処理することが考えられる。相手の名前も用途も明かさずに済むので会社の対面は保てる。だが、税務上は支出の4割もの法人税がかかるため、名と実とどちらを取るかは難しい選択になりそうだ。

 

 交際費として処理するとどうなるか。法人税法では、大企業なら原則損金不算入だが、中小企業は800万円までなら認められるので現実的処理と言えるかもしれない。税法上は相手が仮に反社会勢力であろうとも、「取引先その他利害関係者」として、接待、供応、慰安および贈答などを行うために支出する費用として認められる。

 

 ただし、世間的には「反社会勢力に金を出した」として批判されてしまう恐れがある。マスコミに叩かれる可能性も否定できない。

 

 さらには、寄付金として処理する方法がある。暴力団関係者を会社の営業と無関係な第三者と判断すれば、寄付金として処理できる。もちろん、寄付金の損金算入には限度額があり、全額が損金にならないこともある。

 

 やはり道理のない金を支払ってしまったときの判断は難しい。最近はみかじめ料も手を変え品を変え、「機関誌の購読料」「団体加盟の年会費」などとする手口も見られる。もちろん、これらの名目であれば新聞図書費や諸会費として処理することとなる。(2018/05/18)