うっかり贈与に注意

年内に再チェックを


 税負担をなるべく抑えながら次世代に資産移転する方法として、様々な用途に応じた贈与税の非課税特例の活用がある。

 

 教育資金やマイホーム取得資金、結婚育児資金などがあるが、それぞれ非課税と認められるための要件が細かく設定されているので気を付けたい。

 

 贈与税の特例をめぐって最近よく聞く失敗例のひとつに、結婚育児資金の非課税特例を利用したはずが、要件を満たせずに贈与税を課されてしまったというケースがある。

 

 会社経営者のAさんは、娘の結婚にあたって「新婚旅行を楽しんでこい」と現金600万円をプレゼントしたところ、知人の税理士に「それだと娘さんに贈与税が課せられてしまう」と注意されたという。

 

 たとえば、贈与したお金が結婚式費用であれば、一般的に式は本人たちだけでなく親のためでもあると考えられるので、そもそも贈与税の対象とはならない。また新居への引っ越し費用は、一括贈与の非課税特例の対象となるため、贈与税が課されない。しかし新婚旅行代は特例の対象になっていないため贈与税の対象となる。

 

 Aさんはあわてて600万円を新婚旅行の費用としてではなく、結婚式の費用に充てるよう娘に伝え、贈与税を回避したそうだ。贈与税は、その年の1月1日から12月31日のあいだに行われた贈与について、翌年の確定申告期に申告する必要がある。今年の金銭授受が贈与税の対象となるかどうか、年内にしっかり確認しておくべきだろう。(2018/10/25)