改正事項に注意!

確定申告時のミスをなくせ

経営者が気を付ける点は?


 毎年の確定申告に関しては、顧問税理士に〝丸投げ〞という経営者も多いだろうが、関連書類の用意など納税者がしなければならないことも少なくない。また税理士に関係なく自身が気を付けないと損をしてしまうケースもあるため、税制改正で変わった点を含め、確定申告で注意すべきポイントをしっかり押さえておきたい。


 2016年分の確定申告期限は、所得税と復興特別所得税、贈与税については3月15日、個人事業者の消費税と地方消費税については3月31日までとなっている。もし期限を過ぎてしまうと、無申告加算税として本来の税額の50万円までに対しては15%、50万円を超えた部分に対しては20%が課されてしまう。無駄な税負担を避けるためにも、くれぐれも期限までに申告をしたい。

 

 申告は顧問税理士に〝丸投げ〞いう経営者もいるだろう。しかし申告に必要な書類の用意は納税者がせねばならず、今年の確定申告では申告関係書類の大きな見直しがなされているので注意したい。

 

 親族が国外に1年以上居住していて、その親族について扶養控除、配偶者控除、障害者控除、配偶者特別控除を受けるためには、これまでは扶養控除等申告書に氏名を記載さえしていれば原則的には事足りた。しかし不正申告による控除が後を絶たないことを受けて、今年の確定申告からは、必要書類を厳格化している。子どもを海外に留学させていたり、配偶者が海外に長く住んでいたりする人は気を付けねばならない。

 

 今年から新たに求められるのは「親族関係書類」と「送金関係書類」の二種類で、親族が本当に同じ家計で生活し、その扶養のために送金されているかを確認するものだ。親族関係書類は、戸籍の移転記録の移しや親族のパスポート、親族の氏名や住所、生年月日が記載された、外国の政府や公共団体が発行した戸籍謄本や出生証明書などを指す。また送金関係書類は、本人から親族へ支払いがあったことを明らかにする金融機関発行の書類の写しや、親族が購入した商品の代金を本人が負担したことを示すクレジットカード会社発行の書類を指す。さらにこれらの書類が外国語で作成されていれば、その訳文も納税者が添付しなければならないという、非常に厳しい内容だ。

 

 関係書類を添付し忘れたり、記載に不備や虚偽があったりすると、各種の控除は受けられなくなってしまう。準備するのにも海外から書類を取り寄せるには時間がかかるため、まだ用意していないという人は急がねばならない。

 

今年は「マイナンバー元年」

 国民一人ひとりに番号を付与するマイナンバー制度は昨年1月にスタートしているが、番号の記載が必要となる税務関係書類は今年からが多く、実質的には今回が〝マイナンバー元年〞の申告だ。所得税の申告書はもちろんのこと、医療費控除などさまざまな税制上の優遇を受けるための申請書類にも12桁の個人番号の記載欄が設けられている。

 

 マイナンバー制度では、他人の番号の不正利用やなりすましの防止のため、番号を利用する際には本人確認書類の提示が必要となっている。確定申告も例外ではなく、国税庁は今年の申告に関する「重要なお知らせ」として、「平成28年分の確定申告書等の提出の際には、マイナンバーの記載+本人確認書類の提示または写しの添付が必要です」と強く呼び掛けている。

 

 本人確認書類として認められるのは、申請に基づいて発行される「個人番号カード」を持っていればカード一枚、持っていなければ昨年10月〜12月に国内全世帯に送付された「個人番号通知カード」か個人番号が記載された住民票の写しのどちらかに加えて、免許証やパスポートなどの身分証明書が必要だ。

 

 申告書一枚提出するのにも非常に煩雑になったと言えるが、マイナンバーの提示は法律上で定められた義務ではあるものの罰則は設けられていない。つまり、記載ミスや不提出があったとしても、それを理由に申告書が不受理となることはない。ただし今後マイナンバーが銀行の預金口座などと紐付けられていく過程で、将来的に不記載に罰則が設けられる可能性は限りなく高いことには留意したい。

 

「ふるさと納税」の控除も忘れずに

 任意の自治体に寄付をして税優遇を受けられる「ふるさと納税」制度を昨年初めて利用してみたという人も多いだろう。寄付に対する返礼としてさまざまな特産品を受け取った人も、確定申告までしっかり処理をして初めて同制度の税優遇を受けられることを忘れてはならない。

 

 同制度による税優遇を受けるためには、寄付先の自治体から送られてきた「寄附金受領証明書」を確定申告書類に添付して提出する必要がある。これをしなければ制度のメリットである所得税や住民税の控除を受けられず、単なる寄付となってしまうので必ず忘れないようにしたい。もし受領証明書を紛失してしまったなら、寄付先の自治体に連絡をすることで再交付を受けられる。ただし郵送のやり取りには時間がかかるため、余裕を持って準備しておきたいところだ。

 

 また本来確定申告をする必要がなく、「ふるさと納税ワンストップ特例」を利用するつもりの人でも、寄付先が5団体を超えている人や、特例申請をしていない人は、改めて確定申告をしなければ税優遇は受けられない。

 

 ふるさと納税と同様、適切な処理を行わないと大きな損を被る可能性があるのが「雑損控除」だ。昨年も日本全国でさまざまな自然災害が発生したが、災害によって被害を受けた人は同制度を適用することで税負担を軽減することができる。

 

 雑損控除は、本人か同じ家計で生活する親族を対象として、「損害額から保険金や損害賠償金を差し引いた金額-所得の10分の1」か「損害額のうち、被災後の取り壊しや土砂除去などにかかった費用-5万円」のうち、多いほうの金額が、所得から控除されるものだ。ただし対象となるのは「生活に必要な資産」のみで、1個または1組みの価額が30万円を超える貴金属、書画、骨董は含まれない。損失が控除しきれない時は、3年間かけて控除することも可能だ。適用を受けるためには、確定申告書に被害額などを記載し、併せて災害のための支出を証明する領収書などを添付する。

 

 自然災害による被害への税制特例は、雑損控除の他に災害減免法による税負担の軽減があり、どちらかを選択適用することになっている。しかし災害減免法の特例は所得1千万円以下の人が対象となっているため、実際には雑損控除を適用するケースがほとんどだろう。

 

「税務署の者ですが」…この時期は詐欺が多発!

 毎年この時期に増えるのが、税務署員を装って現金自動預払機(ATM)に現金を振り込ませる「振り込め詐欺」だ。言うまでもなく、国税局や税務署が金融機関の口座を指定した上で税金の振り込みや還付金の支払いのためのATMの操作を求めることは絶対にないが、近年では現金を直接狙うだけでなく、勤務先や取引銀行の情報を問い合わせる事例、未公開株や社債の取り引きに関連して銀行の口座情報を聞き出そうとする例など、さまざまな被害が報告されている。

 

 本物の税務職員が税務調査や滞納整理を行う時には、必ず顔写真のある身分証明書を携帯しているため、少しでも怪しいと思ったときには身分証明書の提示や、税務署への直接問い合わせによる確認をすべきだ。また本当に税務署からの連絡であろうと、「顧問税理士に一度相談して折り返し連絡します」と答える習慣をつけておくことも詐欺被害の防止には役立つだろう。詐欺ばかりは、いかに税理士が有能であろうとも納税者本人が気を付けていなければ防ぐことはできない。詐欺の手法も年々高度化しているため、「自分だけは大丈夫」と思い込まずに対応することが重要だ。

 

 日々の業務に忙殺されるなかで、確定申告も多忙のうちに何となく過ぎ去ってしまうことも多い。だがそこでミスをして大きな損があっては、日頃から節税に励んだ意味がなくなってしまうだろう。顧問税理士と密に連携を取り合った上で、漏れなくミスなく確定申告期を乗り切りたい。

(2017/03/01更新)