司法書士への報酬

1万円を差し引いて源泉徴収


 登記手続などを司法書士に依頼したときの報酬は、所得税および復興特別所得税を源泉徴収することになる。対象となる報酬には、謝金、調査費、日当、旅費など、ほぼすべてのものが含まれるが、依頼者がホテルや旅行会社に直接支払った旅費は、通常必要な範囲の金額であれば報酬・料金に含めなくてもよいことになっている。

 

 また、司法書士が立て替えて支払ったもののうち、登録免許税や申請手数料なども、報酬・料金には含まれない。なお、報酬・料金に含まれる消費税は、原則それらを含めた金額が源泉徴収の対象となる。ただし、請求書で報酬・料金の額と消費税などの額が明確に区分されていれば、報酬・料金の額のみを源泉徴収の対象としてよい。

 

 所得税および復興特別所得税は、1回に支払われる金額から1万円を差し引いた残額に10・21%の税率を乗じて算出される。例えば、1件の委託契約で5万円を支払う場合は、(5万円-1万円)×10・21%で、税額は4084円となる。

 

 ちなみに報酬から1万円を差し引く明確な根拠はどこにも示されていない。一説によると、司法書士の仕事として、銀行や不動産会社から登記簿謄本取得依頼が多く、この謄本取得手続きの報酬は1件1万円以下になることがほとんどで、1万円を引かないとその都度源泉徴収する必要が生じ、経理が煩雑になるから立法化されたとされている。つまりは大事な取引先である金融機関に手間を掛けさせては申し訳ないという理由から1万円が差し引かれているようだ。(2017/08/18)