リゾート地で不動産経営

長野・軽井沢町 中古戸建

157,000,000

完成:1998年6月、建物:135.8m²、土地:1,042.78m²、権利:所有権、

間取り:2SLDK(リビング24帖・キッチン5帖・洋室10帖×2・収納6帖)

 

「別荘」は節税にならない?

旧軽井沢の中古戸建(不動産情報サイトより)
旧軽井沢の中古戸建(不動産情報サイトより)

 不動産を活用した節税は、数ある節税手法のなかでも、もっともポピュラーなもののひとつだといえるだろう。投資用の不動産を購入して建物部分の減価償却費を計上すれば、法人でも個人でも節税効果が得られる。

 

 購入初年度は登録免許税や不動産取得税も経費として計上できるため、とくに大きな節税効果が見込める。ほかに固定資産税や借入金利、修繕費、管理費、火災保険料、物件を現地調査した際に発生した交通費なども経費となる。

 

 不動産投資の代表格ともいえるアパート・マンション経営の目的は、もちろん家賃収入を得ることにある。しかし、満室フル稼働の優良物件であっても、購入初年度から数年間は家賃収入よりも減価償却費が上回るケースが少なくないため、賃料と同時に節税効果も得られる。

 

ゆったりとしたキッチン(同)
ゆったりとしたキッチン(同)

 つまり、不動産投資による節税でカギとなるのは建物の減価償却費だといえる。これが大きければ大きいほど、節税効果は高くなる。

 

 しかし、住宅用の建物の法定耐用年数は木造で22年、RC造だと47年と長いため、アパート・マンションを新築したり、新築一戸建てを購入したりしても、毎年計上できる減価償却費はそれほど大きくない。

 

 このため、短期間で大きな節税効果を発揮するのは耐用年数を経過した物件ということになる。築年数が法定期間を超えている物件の耐用年数は木造が4年、RC造が9年。築年数が耐用年数の途中の中古物件の場合は「(耐用年数―経過年数)+経過年数×20%」で計算する。

 

 写真は長野県軽井沢町の中古戸建て。北陸新幹線の軽井沢駅から1・6㎞、「旧軽井沢」に佇む瀟洒な建物だ。「フーガの径」沿いに立地する山荘風の洋館建築で、万平ホテルにもほど近い。敷地面積は1千㎡超(約315坪)で、販売価格は1億5700万円。平成10(1998)年に完成した木造物件のため、築後の経過年数は19年ということになる。つまり、7年で減価償却が可能ということだ。ただし、減価償却の対象となるのは「建物」で、「土地」の分の購入費は経費化できない点には注意したい。

 

リゾート地の物件で不動産経営(同)
リゾート地の物件で不動産経営(同)

 別荘は「ぜいたく品」なので、購入しても節税にはならない、などと言われる。社長さんが自分自身で使うだけならば確かに節税にはならない。しかし、リゾート地にある物件を賃貸事業用に購入すれば、不動産投資にほかならない。実際、リゾート地の賃貸物件を紹介するサイトには、その地域で一般的なアパート・マンション・借家の情報と同じように、さまざまな「別荘」の賃貸条件などが数多く掲載されている。

 

 個人の別荘やセカンドハウスとしてではなく、賃貸事業用の不動産として購入したのならば、個人でも法人でも減価償却による所得税の節税効果がある。法人の場合、従業員の保養施設として購入すれば管理・維持費を福利厚生費として経費化できる。また、固定資産税の評価が都市部のそれよりもはるかに低いため、資産圧縮効果による相続税対策にもなる。

 

 さらに、シーズン毎などの定期借家として賃貸する場合、競合するリゾート物件よりも優位に立つために、什器・備品を充実させる必要があるかもしれない。備え付けの家具や家電製品、食器などに加え、卓球台やビリヤード台、グランドピアノなどの遊具・楽器なども入居者を募集するためには欠かせないアイテムになる可能性もある。物件に付属させるこうした備品類の経費化や減価償却の計算については、税理士としっかり相談したいところだ。

(2017/05/01)