【ロサンゼルスの一棟売りアパート】

96,050,000円(税込)

海外不動産を購入 短期減価償却で節税効果発揮!

ロサンゼルスの一棟売りアパート(海外不動産情報サイトより)
ロサンゼルスの一棟売りアパート(海外不動産情報サイトより)

 NHKが日本人による海外での不動産投資を番組で取り上げていた。バブル期のようなそれではなく、多くの投資家が節税を兼ねて行っている不動産投資についてだ。要約すると、海外、とくに英国のロンドン郊外などで、広々とした邸宅を購入する日本人が増えていて、そのほとんどが新築ではなく、築後20年以上経過した中古物件を購入しているという。

 

 番組ではその理由として、「中古物件は、建物の耐用年数、つまり残存期間が短いことから、それだけ減価償却が早くできる。その一方、海外物件は市場での取引価格(不動産売買価格)がそれほど値下がりしない。だから、購入した海外不動産を投資用として賃貸に出せば、多額の減価償却によって不動産所得が赤字となり、結果として節税になる」ことを挙げている。

 

 しかも、賃貸に出すと日本とは比較にならないほど高額の賃料を得ることが可能だから、「短期間で効率よく節税できるうえに、その後は売却しても、賃料を得るにしても有利な物件。だから海外不動産は魅力的な投資商品だといえる」といったことを強調する内容となっていた。

 

 為替変動や、地価の暴落、賃貸市場の変化など、海外不動産投資には当然、さまざまなリスクが想定される。このため番組で紹介されたほど簡単に、うまく運用できるとは限らず、必ずしも「有利で魅力的」な投資であるとは言い切れない。これは、国内・海外を問わず、さらには不動産に限ったものでもなく、投資信託や金融商品など、すべての「投資商品」にいえることだろう。番組ではこれらの節税・投資手法を「富裕層、資産家による行き過ぎた節税」であると指摘していた点が笑止だ。

 

大都会ロサンゼルスの利便性を存分に享受できるロケーションにありながら、都会の喧騒を忘れさせてくれる緑豊かで落ち着きのある住環境を誇る「マウント・ワシントン」は、市内での人気が高まっているエリアのひとつ。(同)
大都会ロサンゼルスの利便性を存分に享受できるロケーションにありながら、都会の喧騒を忘れさせてくれる緑豊かで落ち着きのある住環境を誇る「マウント・ワシントン」は、市内での人気が高まっているエリアのひとつ。(同)

 そもそも節税に「行き過ぎ」などあり得ない。10万円を納税するはずだったひとは、どんなに頑張っても最大10万円しか節税できない。2万円の節税ならばいいが、5万円はやりすぎ、10万円は行き過ぎだとでもいうのだろうか。

 

 納税者が法に則って行った節税を指して、「行き過ぎ」などと表現する公共放送の番組こそ、「行き過ぎた富裕層・資産家イジメ」だと言えるだろう。

 

 海外の中古不動産を利用した節税の仕組みはこうだ。例えば、日本国内では新築木造住宅の法定耐用年数は22年となっている。このため、木造アパートを建築すると22年の時間をかけて減価償却し経費化することになる。だが、中古の木造アパートを購入した場合の耐用年数は格段に短くなる。法定耐用年数のすべてを消化している物件の場合、その耐用年数を計算する際に「法定耐用年数 × 20%」という簡便法が使える。

 

 国内の木造中古物件の場合、耐用年数をすべて経過していれば、その建物の価値はゼロに近いことがほとんどだ。こうした物件は「中古住宅」ではなく、「古屋付きの土地」として売買されるケースが多くなる。これに対して、欧米では築50年や100年といった住宅でも内外装がきちんと手入れされている物件が多く、価値が下がるどころか逆に値上がりするケースも少なくない。そして物件価格に占める土地の割合が少ないことから、建物の価格がほぼ物件そのものの価格となっている。税制上は、国内物件でも海外物件でも、耐用年数の計算は同じだから、海外で購入した建物を短期間で減価償却することが可能となり、大きな節税効果を得られるわけだ。

 

海外不動産は短期間での減価償却が魅力。大きな節税効果を発揮する。(同)
海外不動産は短期間での減価償却が魅力。大きな節税効果を発揮する。(同)

 写真は米国・ロサンゼルス(114 West Ave 45 Los Angeles, California)の木造一棟売りアパート。1921年完成の2階建で、総戸数は6戸、延床面積453平方メートルの物件だ。価格は85万ドル、日本円で9605万円(1ドル=113円換算)、つまり約1億円の物件だといっていいだろう。

 

 カリフォルニア州ロサンゼルスの北東部、豊かな自然に囲まれた閑静な住宅街「マウント・ワシントン」に立地し、物件の目の前には同州で40店舗以上を展開しているスーパーマーケット「スーペリア・グローサーズ」がある。地下鉄「サウスウエストミュージアム駅」まで徒歩5分、ロサンゼルス経済の中心地である「ダウンタウン」までは地下鉄で15分、ロサンゼルスを縦断する国道110号線も近くを走っており、クルマを使えばダウンタウンまで10分程度でアクセスが可能だ。

 

 大都会ロサンゼルスの利便性を存分に享受できるロケーションにありながら、都会の喧騒を忘れさせてくれる緑豊かで落ち着きのある住環境を誇る「マウント・ワシントン」は、市内での人気が高まっているエリアのひとつ。全6戸の満室時の想定表面利回りは7・6%と魅力的な水準になっている。

 

 この物件を仮に土地2000万円、建物8000万円で購入したとする。空室期間も想定して年平均5%の利回りで賃貸した場合、年間の賃料収入は500万円。法定耐用年数のすべてを経過している物件なので耐用年数は4年。つまり毎年2000万円の減価償却費を経費として計上できる。賃料収入の500万円を差し引いても、不動産所得は1500万円の赤字となる。さらに、この赤字は給与所得などと損益通算することが可能だから、所得税率が50%のひとならば、毎年1500万円分の減価償却費に対する50%、つまり750万円を節税できる。4年間では3000万円の節税となるわけだ。

 

 4年を経過した後は減価償却費がゼロになるため500万円の賃料収入に対して50%の税金がかかる。このため、長期譲渡となるように5年間保有してから売却する。すると、税率は所得税率の50%ではなく、20%の分離課税へ移行する。買値と同額の約1億円で売れたとすると、建物は全額償却済みなので簿価はゼロとなり、売上原価は土地の2000万円だけになる。つまり、売却益8000万円に対して20%の1600万円の税金ですむわけだ。物件保有期間中(4年間)の節税額は3000万円、売却時の税金は1600万円だから、結果としてその差額である1400万円の節税となるうえに、4年間の賃貸収入2000万円が不動産投資による儲けとなる。

 

 この物件は魅力的な節税商品だといえるが、海外不動産を利用した節税については、会計検査院から財務省に対して是正を求める報告がなされている(2016年11月7日「会計検査院報告」)。こうした海外物件を購入しての節税は近々、封じられる可能性が否定できないが、2017年度の税制改正では措置が講じられることはないようだ。今後数年で待ったがかけられてしまうかもしれないが、だからこそ、海外不動産を活用したかたちでの節税を考えるのならば、ラストチャンスかもしれない。

(2017/02/10)

■監修■ 節税市場の顧問税理士

田本啓先生(アレシア税理士法人 代表社員税理士)のワンポイント

 

 会計検査院による是正勧告もありましたので、海外物件を購入しての節税は難しくなってしまうかもしれません。なんらかの制限がかけられ、節税効果が期待できなくなる可能性はゼロではありませんが、いまや海外での投資が資産家にとって当然のこととなっているのも事実です。海外不動産に投資した結果として、現状では適法かつ合法に節税につながるというだけのことでもあります。ポイントは、純粋な投資物件として収益性などを検討することだといえるでしょう。そのうえで、税金面についてはどのような効果があるのかを、顧問税理士の先生とよくご相談になって、購入を判断してみてはいかがでしょうか。