万が一への備えで節税

災害時非常用食料品

54,432円(税込)

 

【サバイバルフーズ「チキンシチュー6缶セット」(大缶・1ケース)】

■製造:オレゴンフリーズドライ(販売:セイエンタプライズ)

■総重量:約5.4㎏(ケース) ■梱包サイズ:縦487mm×横324mm×高さ×199mm(同)

■賞味期限:製造年月日より25年間(24℃以下の常温保存) ■付属品:缶切り6個

 

非常食は消耗品費で処理が可能

「チキンシチュー6缶セット」(セイエンタプライズのネット通販サイト「セイショップ」より)
「チキンシチュー6缶セット」(セイエンタプライズのネット通販サイト「セイショップ」より)

 富士山の伏流水を使って作られたホテルオークラのパンの缶詰、じっくりと丹念に作られた帝国ホテルのカレーの缶詰。すぐに食べてしまいたいものばかりだが、これらは災害時の非常食としても人気のメニュー。万が一の時のために備えておく非常食といえば乾パン程度しかないというイメージは、もう時代遅れのようだ。

 

 会社が地震災害などに備えて用意した缶詰や乾パン、レトルト食品、フリーズドライ食品などの非常食は、消耗品費として購入時に全額損金処理できる。こうした非常食には、賞味期間(品質保証期間)が2年程度のものから、数十年もの長期保存が可能とされるものまである。しかし、食料品は繰り返し使用するものではなく、また非常食は備蓄した時点をもって事業の用に供したと考えられることから、たとえ長期保存が可能なものであったとしても、これらの購入費用は減価償却資産や貯蔵品などとして資産計上することなく、購入時(備蓄時)の費用として処理することができるわけだ。

 

自治体の補助事業も活用

「クラッカー6缶セット」税込25,920円(同)
「クラッカー6缶セット」税込25,920円(同)

 東日本大震災などの大規模災害を教訓に、自治体による補助事業も各地で実施されている。東京都が取り組んでいる「民間一時滞在施設備蓄品購入費用補助事業」もそのひとつ。

 

 首都直下地震などの災害から帰宅困難者を守り、被害を最小化させるため、都内の区市町村と帰宅困難者受入協定を締結する民間の一時滞在施設に対し、備蓄品購入費用の6分の5を補助するというもの。

 

 従業員向けに3日分の水や食料などを備蓄完備していることや、事業継続計画(BCP)または防災計画を策定している事業者が補助の対象となる。

 

 この補助事業で東京都が指定する備蓄品は、帰宅困難者1人につき1日当たり水3リットル、食料3食、簡易トイレ5個、毛布またはブランケット1枚。水・食料・簡易トイレは3日分を用意する。補助対象となる購入費の上限は9千円なので、7500円が都から補助される。今年度の募集期間は平成30年2月28日まで。

 

100人規模の事業所なら3日間で900食分

25年間の超長期保存が可能でメニューも豊富(同)
25年間の超長期保存が可能でメニューも豊富(同)

 写真上は、世界最大規模の凍結乾燥食品メーカー、オレゴンフリーズドライ社のサバイバルフーズ「クラッカー6缶セット(大缶・1ケース)」。価格は2万5920円(税込)。写真中は副食の「チキンシチュー6缶セット(同)」。価格は5万4432円(同)。いずれも1缶あたり10食相当量となっているので、各1ケースで60食分となる。従業員数が20人の事業所なら、これを3ケース用意しておけば3日分の非常食を備蓄できる。

 

 「サバイバルフーズ」はアメリカ政府の非常用食料調達局からの依頼により、オレゴンフリーズドライ社がNASAや陸軍省と共同開発したもの。最大98%の水分を除去しているため重量は本来の10分の1にすぎず、缶内の残存酸素もほとんどないことから25年間の超長期保存が可能。日本でも多くの自治体や企業が非常用備蓄食品として採用している。チキンシチューのほかに「クリームパスタ」「マカロニ&チーズ」「洋風とり雑炊」「洋風えび雑炊」などのメニューもある。

 

 非常食は通常、賞味期限が迫ってきたら新しいものと入れ替えることになるが、古いものを廃棄せずに社員へ無償で配っているケースもある。この場合、一部の従業員へのみ大量に配付したり、まだ十分に消費期限が残っているのに分配処分したりすると、社員へ現物支給した給与とみなされて課税されてしまう可能性もあるので注意したい。

(2017/06/27)