老後の安心求めて税優遇をフル活用

住宅リフォーム

工事費用 4,294,445円(税別)

 

<施工事例>【内装(LDK)・水廻り改修工事】

■工事詳細■2LDK改修工事(ウッドワン:床材・カウンター材・クローゼットドア・片引き戸・壁・天井 クロス貼替え)、キッチン(クリナップ:システムキッチンI型 2550・浄水器一体型水栓、3口ガスコンロ、シロッコファン)、カップボード(クリナップ:「KTシリーズ」キャビネットW1650、吊り戸棚H900) 、ユニットバス(パナソニック:「ソシエV」サイズ1216・スミピカフロア、ささっとキレイ排水口、有機ガラス系人造大理石)、洗面化粧台(TOTO:「Aシリーズ」一面鏡<開口500㎜>、2ハンドル混合栓、TOTO収納 スウィング埋込収納棚 )、トイレ(TOTO:ピュアレストQR リモデルタイプ・便器、タンク、ウォシュレットJ、便座 超節水、トルネード洗浄、セフィオンテクト)、給湯器(ノーリツ:エコジョーズ24号オートタイプ)、その他(1階廊下、階段室、2階廊下工事、壁・天井 クロス貼替え、カーテンレール工事:TOSO ウッディ28シングル)

 

注目される〝終活リフォーム〟

2DKの間取りを段差のない広々としたLDKに(山岸工業「Y建築工房」のサイトより)
2DKの間取りを段差のない広々としたLDKに(山岸工業「Y建築工房」のサイトより)

 〝終の棲家〟は、マイホームであるのが当然のように思われがちだが、近年では老人ホームなどの高齢者施設に入居することを選ぶ人も増えている。だがこうした施設の欠点は、住み続ける限りお金がかかるということだ。長生きすればするほど資産が減り続けるわけで、世知辛い話だが、最終的に「自分の余命」と「財布の残金」を天秤にかけざるを得ない。

 

 しかし、住み慣れた自宅にしても、老後の生活には最適だといえないことが多い。若い頃に買ったマイホームがバリアフリー仕様になっていることはまず考えられず、土地のない都心では3階建て住宅も多いため、年を取れば階段を上がるだけでもひと苦労だ。身体のどこかが不自由になった場合、いまと同じように住める保証はどこにもない。そこで考えたいのが、いわゆる〝終活リフォーム〟だ。

 

 手すりの取り付けや段差の解消などで50万円以上かかるバリアフリー工事をすると、リフォームにかかった費用のうち、最大20万円を所得から税額控除することができる。ただしその家を所有し、リフォームを行う人の所得が年間3千万円以下であることが条件だ。

 

現金よりお得!評価額を3割圧縮

 同様に、5年以上のローンを組んで100万円以上かかるバリアフリー目的のリフォーム工事を行った場合にも、所得税から年12・5万円、5年間で最大62・5万円の税額控除を受けられる。こちらも3千万円の所得制限がある点には注意したい。

 

 また、築10年を超える持ち家で50万円を超えるバリアフリー工事をすれば、家屋にかかる固定資産税の3分の1が1年間免除される。こちらはリフォームを行う人自身が住んでいる必要はなく、所得制限も設けられていないため、所得税の優遇より使いやすいと言えるだろう。

 

 さらに、工事費用そのものを助成してくれる制度もある。例えば「要支援」または「要介護1〜5」と認定された人が住む住宅をバリアフリー化すると、最大18万円が国から助成される。さらにバリアフリーに向けた取り組みを支援する施策は自治体にもあり、例えば東京・足立区であれば改修工事費を最大30万円まで助成する。こうした助成制度がある自治体は多いため、自分の住んでいる都道府県や市区町村を調べてみるといいだろう。

 

「老いてから考える」ではもう遅い?

 リフォーム後の建物の相続税評価額は、固定資産税の評価に基づくが、評価替えが間に合わなかった場合、国税庁は「リフォーム費用の7割分の価値が上昇したとみなす」という判定基準を用いている。つまり、現金で持ったままよりも評価額を3割削ることができるわけだ。目を見張るほどの節税効果とまではいえないかもしれないが、無駄遣いをするよりはよほど有効な相続税対策だろう。

 

 写真は大正12年創業の住宅メーカー、山岸工業(埼玉・蓮田市)のリフォーム部門「Y建築工房」が手掛けた施工事例。2DKの間取りを段差のない広々としたLDKへと改修し、使いやすい対面キッチンを導入。浴室にも手すりを設置するなどの安全設計を施している(工事詳細は別掲)。工期は40日間で、工事費用は429万4445円(税別)。

 

リフォーム経験者の多くは「住みやすい家が必要になってからリフォームを考えていたのでは遅い」と口を揃える。省エネ化なども図るのであれば、リフォーム後の人生が長いほどその恩恵を大きく受けられる。健康で、収入にも不安のない現役のうちに、20年後、あるいはさらにその後を考え、動き出すことが重要だろう。

(2017/08/23)