〝タワマン節税〟規制されるも影響は軽微

タワーマンション

299,990,000

 

【グローバルフロントタワー(GLOBAL FRONT TOWER)34階 3LDK】

<物件概要>■物件種別/区分所有マンション■価格/2億9999万円(税込)■所在地(住居表示)/東京都港区芝浦1丁目■交通/JR山手線・京浜東北線「田町」駅より徒歩10分■土地権利/所有権■専有面積/120.11㎡(壁芯)■建物構造/RC造■階建・所在階/地上34階建・34階■総戸数/883戸■種類/高層共同住宅■築年月/2015年9月■バルコニー面積/18.92㎡■トランクルーム/1.37㎡ ■管理費等/35,840円■修繕積立金/12,880円■駐車場/有■管理形態/日勤管理■用途地域/準工業地域■主要彩光/東南向き■現況/賃貸中■表面利回り/3.30%■想定年収/10,080,000円■引渡し/相談

 

節税効果が完全に封じられたわけではない!

 同じ価額の資産であっても、現金での保有に比べて、土地で所有しているほうが相続財産としての評価額を低く抑えられる。不動産には財産評価をするうえでさまざまな特例が用意されているためで、多くの税理士が「相続税対策は土地対策」と口をそろえるゆえんだ。

 

 現金を不動産に換えて資産額を圧縮することは、相続税対策の基本といえるだろう。不動産がマンションである場合は、さらに高い節税効果を見込める可能性がある。既存のマンションは階数が違っても、住戸面積(専有面積)が同じなら原則として固定資産としての評価額は変わらない。その一方で、実際の取引価格は眺望のよい上階になればなるほど高くなるのが一般的であるため、高層階ほど実勢価格と評価額の開きが大きくなる傾向がある。

 

 例えば同じマンションであっても、1階住戸の実勢価格が5千万円、同じ広さの30階の住戸が1億円というケースも珍しくはない。相続税評価額がいずれも2千万円だとすると、実勢価格に対する評価額の割合は1階住戸なら40%、30階住戸なら20%という差が生まれる。

 

 

評価の変動は数%、税額の違いも数十万円程度

 数十階にもなる高層共同住宅、いわゆるタワーマンションであれば、低層階と高層階の実勢取引価格の開きが1億円以上になることもあるため、節税効果もその分大きくなるというわけだ。これを利用し、相続を見据えてタワーマンションの高層階を購入しておき、相続税を納めた後で売却するという節税手法が富裕層のあいだで流行した。

 

 納税者によるこうした節税の動きが活発になれば、当然ながら国税当局が黙っているはずはない。2017年度税制改正では、いわゆる〝タワマン節税〞への規制が打ち出された。しかし、その内容は小幅な規制にすぎず、タワマン節税の効果が著しく減殺されるものではないといえる。

 

 新しい評価ルールでは、中間階は現行制度と同じ評価にしたうえで、それよりも高層階になるほど段階的に評価を引き上げ、低層階では逆に引き下げる。ただし、対象となるのは「2018年以降に課税対象となる新築物件」に限られる。実際にこのルールが適用されても評価の変動は数%に過ぎず、税額も数十万円程度しか違わないとみられる。つまり、タワマン節税への影響はごく小さなもので、その効果が完全に封じられたわけではない。相続の発生するタイミングを見極めるのは難しいが、これからタワマン節税を実行したいと考える人はよくよく検討したい。

 

 

2018年以降課税対象となる新築物件から

 写真は東京・港区の区分所有タワーマンション物件。34階建の最上階で専有面積は120・11㎡、間取りは3LDK。JR山手線「田町」駅から徒歩10分。価格は2億9999万円で、現況は表面利回り3・3%で賃貸中。2015年9月に竣工した築2年余りの築浅の中古物件だが、タワマン節税の規制対象にはならない。

 

 ただし、相続財産の評価ルールを定めた「財産評価基本通達」には「通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」とあるため、評価額と実際の価格が著しく乖離していたり、相続とマンション売却の時期が不自然に近かったりするケースの取締強化に当局が乗り出す可能性もゼロではない。

 

 もっともタワマン節税がいま以上に規制されたとしても、相続財産の評価額を抑えられる手法として不動産活用が最大の相続税対策であることに変わりはない。どう財産を引き継ぐのか、メリットとリスクを確認したうえで、さまざまな相続対策を検討していきたい。

 

(2017/09/12)