地主・ビルオーナーの遊休物件活用術

コインランドリー

開業資金(一般的な目安) 14,000,000

 

【店舗面積25坪タイプの設備投資費用の一例】

■ 商材費(洗濯機・乾燥機):約1000万円

■ 内装工事費・配管工事費(物件取得費含む):約400万円

 

設備機器の減価償却で大きな節税効果

FAGOR社製「大型洗濯脱水機」(マンマチャオのサイトより)
FAGOR社製「大型洗濯脱水機」(マンマチャオのサイトより)

 所有している土地の有効な活用方法を検討する際、真っ先に思い浮かぶのはアパート・マンション経営ではないだろうか。ハウスメーカーや不動産会社の営業マンから熱心にすすめられた経験を持つ土地オーナーは数多いことだろう。アパ・マン経営よりも初期の設備投資を抑えることができる月極駐車場やコインパーキングの経営、さらには専用コンテナを設置し、レンタル収納スペースやトランクルームを運営してみようかと考えた地主さんも少なくないはずだ。

 

 日本の相続は〝土地相続〞といわれる。相続財産のおよそ半分を土地が占めているからだ。だから税理士の多くも「相続税対策とは、土地対策にほかならない」と口を揃える。財産を現金・預金で残せば、その全額が相続税の課税対象になってしまう。しかし、その現金で土地を購入すれば、課税評価額が下がる分だけ節税になる。財産の半分を土地が占めるようになるのは当然のことだ。

 

駐車場、看板、広告宣伝費も経費計上

店舗面積10坪のモデルプランのイメージ画像(アクアのサイトより)
店舗面積10坪のモデルプランのイメージ画像(アクアのサイトより)

 だが、せっかく所有している土地も、放置したままでは宝の持ち腐れになってしまう。固定資産税は毎年納めなければならないのだから、持っているだけで何も生み出さない土地はマイナスの財産にほかならない。そこで土地オーナーの多くは、「遊休地の活用方法」について悩むことになるわけだ。これは、地主だけに限ったことではなく、なかなかテナントが入居してくれないビル・店舗物件オーナーにも共通した悩みであるといえるだろう。

 

 アパ・マン経営や駐車場の運営なども有効な土地活用方法であることは間違いない。建物や設備の減価償却によって節税効果を期待できるうえ、将来的な視野で捉えれば相続対策につなげることもできる。しかし、地主・ビルオーナーにとっての選択肢はそれだけではない。コインランドリー投資もそのひとつだといえる。

 

小規模宅地の特例で相続評価軽減にも

店舗面積28坪のモデルプランのイメージ画像(同)
店舗面積28坪のモデルプランのイメージ画像(同)

 コインランドリーを営業している土地には「小規模宅地の評価減の特例」が適用される。この特例は、生活の糧を生み出す店舗やアパートなどを、相続税の納税資金を調達するために手放さないですむよう、土地の相続税評価額を減額させるもの。店舗の場合は、400㎡までの相続税評価額が80%軽減される。つまり、評価額が1億円だとされている土地にコインランドリーを開店させると、相続税評価額は2千万円として扱われる。「小規模宅地の評価減の特例」はアパートなどの貸付事業用地にも適用されるが、こちらは200㎡までで軽減率は50%となっている。コインランドリー経営は節税効果が高いといえるのだ。

 

 大型の洗濯機や乾燥機などの設備機器は、当然ながら減価償却資産として経費化できる。駐車場設備、看板、広告宣伝費なども経費計上することになる。法人の新規事業として取り組めば、とくに設備投資額が大きくなる初年度に節税効果を発揮する。個人の場合でも、高額納税者ほど多くの源泉所得税還付が期待できる。

 

 コインランドリー経営をサポートするフランチャイズチェーンや洗濯機器メーカーは多数存在する。写真上は大手FCのマンマチャオが導入提案するFAGOR社製「大型洗濯脱水機」。写真中・下はメーカーの立場から店舗の立ち上げをサポートするアクアのモデルプランの一例(店舗面積10坪、28坪のイメージ)。開業資金は規模・立地・条件などによって異なるが、一般的な目安として25坪タイプで1400万円前後だとされている。

(2017/09/07)