善意の寄付行為が結果として節税に!

ふるさと納税

寄付金額 100,000

 

<返礼品の一例>

【東京都国分寺市「ペンシルロケットレプリカ」】

■本体の長さ:約23㎝

■1000機限定

■寄付金額10万円(連続した2年で分割可)ごとに1機贈呈

■台座・本体にシリアルナンバー刻字

■国立天文台の阪本成一教授によるオリジナル解説書付き

■市章とJAXAのロゴ入りアクリルカバー付き

 

地域ごとに工夫凝らした返礼品

「ペンシルロケットレプリカ」(国分寺市のHPより)
「ペンシルロケットレプリカ」(国分寺市のHPより)

 2008年にはじまった「ふるさと納税」制度が10年目を迎えた。ふるさと納税は、実質的に自己負担2千円でそれ以上の価値がある地域の特産品を受け取れるというお得な制度だ。

 

 寄付額から2千円を差し引いた金額は、翌年、所得税の還付と住民税の控除というかたちで戻ってくる。2015年に控除上限額が引き上げられ、選べる特産品の幅が広がったことで利用者が急増。16年度には同制度を利用した寄付が初めて1千万件を突破し、納税者にとっておなじみの制度として定着しつつある。

 

 寄付を募る自治体の側も、特色のある返礼品をバリエーション豊かに準備。〝画一的なお役所仕事〞といったイメージの強かった地方行政だが、この制度への取り組みによって活性化が図られたことは間違いなく、ふるさと納税の担当部署を中心に個性的なPR活動を展開している。寄付をする納税者の側としても、地域の特産品などの〝返礼品〞を受け取ることで、善意の寄付行為が結果として節税につながる。

 

レアアイテムを入手することも

返礼品に追加された双眼鏡(同)
返礼品に追加された双眼鏡(同)

 今年4月に総務省が「換金性の高い貴金属や電化製品、寄付金額の3割を超える価値のもの」を返礼品としないよう全国の自治体へ要請したことから、これまでのアイテムを見直す動きが出ている。しかし、「実質2千円の負担で全国の特産品を受け取れる」という制度の魅力は変わらない。返礼品の価値(原価相当額)は寄付金額の3割までという基準がはっきりしたことで、より工夫をこらしたアイテムを生み出そうとする自治体の動きが活発化しているのも事実だ。

 

 写真上は東京都国分寺市が寄付者へ贈呈している「ペンシルロケットレプリカ」。〝日本の宇宙開発・ロケット開発の父〞として知られる故・糸川英夫教授(東京大学生産技術研究所)が、1955年に当時の国分寺町で戦後日本初となるロケット(ペンシルロケット)の水平発射実験を行ったことに由来するもの。

 

 国分寺市ではJAXA(宇宙航空研究開発機構)との共催事業として、発射実験から60周年を迎えた2015年に返礼品として採用。当時の実機を忠実に復元したレプリカを寄附金額10万円(連続した2年で分割可)ごとに1機贈呈している。国立天文台の阪本成一教授によるオリジナル解説書付きで、台座と本体にはシリアルナンバーが刻字してある。またアクリルカバーには国分寺市の市章とJAXAのロゴが入っている。1000機限定のため、なくなり次第終了となる。

 

 また「日本の宇宙開発発祥の地 国分寺市」をキャッチフレーズとする同市では、天体望遠鏡と双眼鏡も返礼品に追加して〝科学のまち国分寺〞を積極的にPRしている。

 

自己負担2千円で特産品を選択

天体望遠鏡(同)
天体望遠鏡(同)

 16年にふるさと納税を利用して行われた寄付は全国で1272万件。寄付総額は2844億円だった。

 

 件数、金額ともに前年より7割以上伸び、過去最高を記録している。人気の返礼品は早期に募集が締め切られることもあるので、早めの寄付が必要だ。いまからふるさと納税をするのであれば、自分がどれだけ寄付したかを覚えておき、年末にプラスで制度を利用するときに限度額を超えないように気を付けたい。

 

 総務省の「3割基準」に拘束力はないが、是正しない自治体に対して個別に働きかけるなどの取り組みが強化された結果、全国的に見直しが進みつつある。目当ての返礼品がなくなる前に、今年の寄付先を検討してみるのもいいかもしれない。

(2017/08/02)