テレワーク実施率 中小で67.3%

緊急事態宣言後の導入が過半数


 東京商工会議所はこのほど、会員企業でのテレワーク実施率が67・3%だったことを発表した。

 5月29日〜6月5日に実施した調査で1111社が回答。3月の調査時に比べて41・3ポイント増加した。

 またテレワークを実施している企業のうち52・7%は4月7日に発令された緊急事態宣言以降から実施していると回答した(グラフ1)。

 新型コロナウイルスの感染拡大で中小企業でもテレワークが進んだことが垣間見える。


 規模別に見ると従業員300人以上では90%に達し、100人以上300人未満が77%、30人未満は45%で、規模が大きいほど実施率が高い結果となった。

 

 テレワークを実施した際に生じた課題としては、「ネットワーク環境の整備」が56・7%で最も多かった。

 

 緊急事態宣言が発令される以前からテレワークを実施している企業では「書類への押印対応」が60・1%でトップであったのに対して、発令以降から実施した企業では「PC・スマホ等機器の確保」が58・8%で最多だった。

 

 テレワークを実施したことによる効果という質問では、「働き方改革が進んだ」が50・1%で最も多く、「業務プロセスの見直しができた」42・3%)、「定型的業務の生産性が上がった」(17・0%)が続いた。

 

 テレワーク未実施(「実施を検討している」+「実施する予定はない」)の企業に、テレワークの実施を検討する際の課題について聞いたところ、「社内体制が整っていない」(51・1%)、「テレワーク可能な業務がない」(49・4%)、「パソコンやスマホ等の設備が十分でない」(47・5%)が挙がった。

 

 今後も実施予定がない企業からは、「少人数で現場仕事が多いため、全社員が現場に出ながら多能工として働いている。店頭の対応も全員でやっており、ギリギリの人手で現場を回している」(サービス業、30人未満)、「店頭で人による対応が必須。事務仕事はそれほど多くはない。リモートで市場の競りに参加することも可能ではあるが、当店は高級・高額品種を仕入れるため、商品を肉眼や触感で確認しており、テレワークは無理」(小売業、30人未満)といった回答があった。

 

 緊急事態宣言でテレワークの実施率が高まったものの、それに関連した助成金や補助金などの活用状況となると、最も高いものでも「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金(東京都)」の10・4%にとどまった(グラフ2)。「支援制度を活用したかったが、申請し助成を受けるまでに時間を要すること、申請より先に導入したものは助成対象外であること、助成対象となる経費に制限があることなどがネックとなり、当社では活用できなかった」(サービス業、30人未満)といった声も寄せられた。

(2020/07/31更新)