申告漏れと脱税の境界線

虚偽・故意なら刑事告発の対象に


 税務調査で所得隠しや仮装・隠ぺい行為が発覚すると、国税当局は納税者に過少申告加算税や重加算税といったペナルティを与える「更正処分」を行う。悪質な脱税者にはさらに、更正処分に加えて国税局の査察部が刑事告発することがある。

 

 査察部の刑事告発は、脱税者の手口を追及することで申告納税制度を維持することが目的だが、多額の申告漏れを指摘された納税者でも告発までには至らないケースがある。

 

 刑事訴追を受けて法廷の場で刑事罰を受ける脱税犯と、国税当局の行政罰に留まる納税者を分ける境界は、その税逃れが「故意」であったか否かにある。

 

 申告が偽りの内容に基づくものであり、その結果が脱税に繋がることを納税者自身が認識していたと判断されると、刑事告発されるおそれが高い。例えば経営者の筆跡による領収書の書き換えや、経営者による人件費の水増し指示があったことが発覚すれば、脱税行為になることを会社が認識していたと判断される。(2017/05/09)