応接室用に絵画購入

100万円以下なら減価償却


 経営者が応接室に飾る絵画を画廊で2点購入したとする。ひとつは大きいサイズで150万円、もう1点は小さめで85万円だった。このとき、小さめの絵画については取得費を8年に分けて経費(損金)にできるが、大きいサイズのものに関しては所得計算において損金化できない。

 

 事業で使う資産の多くは時が経過するごとに価値が減っていくため、財務省令で定められた法定耐用年数に応じて毎年必要経費として処理(減価償却)する。しかし、土地や借地権のほか、古美術品、古文書、出土品、遺物といった歴史的価値がある美術品は価値が減少しないので、減価償却の対象にはならず、経費(損金)にできない。

 

 また、いわゆる歴史的価値はなくても、取得価額が1点100万円以上の美術品も非減価償却資産になる。なお、平成26年以前は「美術関係の年鑑に記載されている作者の作品であるか否か」、「1点20万円以上であるか否か」によって判断していたが、美術年鑑によって掲載基準があいまいなこと、さらに基準となる金額が低すぎることから、「100万円」を基準にすることとなった。

 

 ただし、100万円以上の絵画でも、時間が経てば明らかに価値が下がるようなものであれば減価償却できる。例えば、会館のロビーや葬儀場のホールのような不特定多数の人の目に触れる場所の装飾・展示のための絵画は減価償却資産になる。また、壁画などの移設できない美術品で他の用途に使えないのであれば同様の扱いとなる。

 

 室内装飾品の法定耐用年数は、金属製の彫刻など主に金属製のものであれば15 年、それ以外の絵画や陶磁器であれば8年となっている。(2016/12/22)