利用者少ない特定支出控除

適用条件厳しく節税効果なし


 「特定支出控除」は、サラリーマンが自腹で使った業務費用を控除できるというもの。その費用が、給与所得控除の半分を超えたとき、超えた金額に適用できる。経費と認められている品目は、通勤時の交通費、引越費用、単身赴任者の帰宅時の交通費、研修費、資格取得にかかる費用、図書の購入、衣類の購入費、交際費などだ。

 

 しかし、この制度はさっぱり使われていない。利用者は年間たったの2000人。これは給与所得者の3万人に1人の割合にすぎない。利用されないのは、適用基準が厳しく、使いにくいためだ。

 

 資格取得であれば、学費を一括で支払っても、全額が特定支出として認められるわけではない。図書費は専門書・専門誌に限られる。単身赴任などの帰宅日は月に4往復までで、いちいち会社の証明書が必要となる。

 

 金額にも問題がある。例えば年収500万円のサラリーマンなら、適用金額は所得給与控除154万円の半分である77万円、月額だと約6万4千円となる。毎月、これだけの金額を自腹で使うサラリーマンはめったにいないだろう。仮に80万円使っても、3万円(80万円-77万円)が経費になるにすぎない。つまり、4000〜6000円ほどの節税にしかならないわけだ。(2017/09/21)