中小企業も香港に進出

気をつけたいタックスヘイブン対策税制


 アメリカの経済紙は、香港を世界で最も「経済の自由度」が高い地域と評価する。実際に、法人税率が低く、税制も簡潔かつ明快なので、日本を含む外資系企業がこぞって進出している。外国の事業者にとって、香港はまさに「タックスヘイブン(租税回避地)」のように見なされているのだ。

 

 香港には、事業税、住民税といった地方税や一般消費税が存在しない。また、「オフショア所得非課税」と呼ばれ、香港内源泉所得のみが課税対象となる制度もある。香港と香港外(オフショア)の両方から二重課税される可能性を防ぐためのもので、法人が香港外で得た所得は原則的にすべて非課税とされる。

 

 何より法人税率は一律で16・5%と安い。個人所得も税率は低く、最高17%の累進課税率と一律15%との選択適用が可能である。高所得者であっても税率はやはり15%。

 

 低い税率を見込んで、これから香港での会社設立を考える日本の中小企業も増えている。進出の際に気をつけたいのは、日本には、「タックスヘイブン対策税制」と呼ばれる制度があることだ。これが適用されると、香港で得た現地法人としての所得が日本側で合算課税されることになる。

 

 ペーパーカンパニーなどを現地で設立すれば、適用される可能性が高くなる。2016年には神戸物産が、タックスヘイブン対策税制の適用で追徴課税1億6000万円の支払いを求められた。国税局が「子会社に役員が常駐していない」と判断したからだ。(2017/09/19)