ワープロ遺言は自筆にあらず

法的効力は無効に


 自筆で残す遺言(自筆証書遺言)に法的効力を与えるには、全文を遺言者自身が記入し、日付、氏名を記載したうえで、押印しなければならない。たとえ遺言者自身が遺言の全内容を文字にしていたとしても、ワープロで打ち込んだ遺言書は遺言者が書いたものであると親族が判断できないため、遺言の内容どおりに遺産分配させる強制力はない。

 

 また、日記帳などに「介護をしてくれた娘にアパートを譲る」と自筆したとしても、押印がなければ遺言書としては無効になる。遺言を作成できるだけの判断能力(遺言能力)がない人が残した遺言書も、遺言内容に法的強制力がない。この遺言能力は15歳以上の人に認められている(民法961条)。

 

 ただし、認知症や精神疾患で判断能力がなくなっている人が作成した遺言書は無効になる(同法963条)。なお、遺言を残す紙の種類に決まりはなく、メモ用紙の片隅に書かれていても問題ない。また、押印は実印である必要はない。

 

 遺言の内容は付け加えや修正できるが、遺言者が修正したことを記して署名したうえで、変更箇所に押印しなければ修正内容は認められない。(2016/11/14)