【薬局の値段】(2021年5月号)


薬局での患者負担額がどのような仕組みで決められているのか、多くのドクターが意外にもご存じないようだ。患者にとっては、クリニックの窓口で支払う診療費よりも、むしろ処方箋を持っていく先での支払額が大きな負担となっている。ドクターも患者目線で10円単位の「薬局の値段」をおさらいしておきたい▼まず「お薬手帳」。薬局でもらえるものだが、市販のノートや手帳でも構わない。個人薬局に持参すると「薬剤服用歴管理指導料」が410円(3割負担患者の支払額は約120円)になる。手帳を持っていないと530円(同約160円)だから、患者としては40円お得だ。門前薬局やチェーン薬局では手帳があってもなくても530円となっている▼次に「調剤基本料」。個人薬局は410円。門前薬局やチェーン薬局は150円・200円・250円の3段階に分かれる。そして病院の敷地内に設置された門内薬局では「特別調剤基本料」と名を変えて100円で済む▼薬そのものの費用(薬剤料)には原則として差がないのだから、少しでも負担を減らしたい患者はここまでのトータルが安い薬局を選ぶことになる。わずか数十円の違いで「患者がわざわざ薬局を探して歩きまわるはずがない」などと思うなかれ。高齢患者には文字通り死活問題なのだ。