【無権利状態】 (2018年11月号)


納税者権利憲章とは、課税・納税手続きでの「納税者の権利を制度的に保障する基本的な法律」のこと。国によっては納税者権利宣言ともよばれる。しかし、日本には納税者の権利を保障する基本法が存在しない▼税務調査の現場でしばしばみられる事前通知なしの税務署員の突然の訪問(任意調査)や、一方的に所得を算出して納税を強要する「推計課税」など、人権無視の強権的な税務行政を改めさせ、納税者の権利を守るためには「手続規定の整備」が必要不可欠だ▼フランスでは人権宣言(1789年)のなかで「すべての市民は、自身またはその代表者により公の租税の必要性を確認し、これを自由に承諾し、その使途を追及し、かつその額、査定、徴収および存続期間を決定する権利を有する」と高らかに謳っている。イギリスでは「納税者は公平に扱われ、法に基づく適正な税額のみを支払うことを要請される」と規定。アメリカでも「納税者は(内国歳入庁の)職員から思いやりと配慮のある取り扱いを受ける権利がある」としており、韓国でも「具体的な租税脱漏の疑いなどがない限り、納税者はあくまでも誠実な納税者であり、納税者が提出した税務資料は真実なものと推定される」と定めている▼日本はいまだに不備、いわば無権利状態だ。改憲を目指す政権に「納税者の権利」は無視され続けている。