【正確な報告】(2014年10月号)


企業経営者が欲しているものといえば、なんといってもいま以上の売上・利益だ。斬新な発想で次々にヒット商品を開発する技術者や、それをガンガン売ってくる優秀な営業マンなどの優秀な人材も、のどから手が出るほどに欲しいことだろう。それ以前に、もっと潤沢な運転資金が欲しいなどと願う社長さんの思いは、トップとしてあまりにも切実だ▼中小企業・同族会社のオーナー社長さんともなれば、なにからなにまで自分の責任で決めなければならない。トップが「決断」を下すにあたって最も欲するのは、判断材料となる豊富な「情報」だろう。正確な情報は、客観的な分析と冷静な判断の根拠となる▼ビジネスには「ほうれんそう」(報告・連絡・相談)が欠かせないなどと言われるが、はたして本当だろうか。取材を通じて数多くの経営トップに会ってきたが、みな口を揃えて「報告さえ正確ならばそれだけでいい」という。つまり、トップが最も欲しているのは「正確な報告」なのだ。「不正確な報告」「ウソの報告」ほど、トップの判断を誤らせるものはない▼自社商品を購入してくれる消費者や取引先、そして材料を納入してくれる仕入先などよりも「とにかく社長が喜びさえすればそれでいい」と考える社員は存在する。顧客を無視して社長の〝満足〟だけを最優先した無責任な「報告」は徹底的に排除したい。