【ハンドドライヤー】 (2021年5月号)


年がバレてしまう話だが、子どものころ、ボウリング場や映画館のトイレにコレが付いていると、なんだかとてもオシャレに感じたものだ▼ハンドドライヤー。手を洗った後にお世話になるアレだ。当時のモノは、とにかくものすごい音がした。しかし、その〝轟音〟の割には低出力だったのだろうか、生暖かい温風をやさしく吹きかけてくれるだけだから、なかなか手が乾かない。ましてや「次の人」が順番を待って並んでいるトイレでは、長時間使うわけにもいかないので、「半乾き」にしかならないモノという印象が強い▼最近は高性能だ。〝ジェット〟という表現が大げさではないほどの風力で、瞬く間に手を乾かしてくれる。だが、コロナ禍にあっては、むしろその威力がアダとなり、長らく使用が禁止されてきた。「ウイルスを飛散・拡散させてしまう恐れがある」とされたためだ▼経団連は先日、感染防止のためのガイドラインを改訂し、職場のトイレに設置したハンドドライヤーの使用停止を求める項目を削除した。世界保健機関(WHO)や諸外国の保健当局が、ペーパータオルとともにハンドドライヤーの使用を推奨していることなどが理由だという▼国内シェアトップは三菱電機。同社顧問は経団連に18人置かれている副会長の1人だ。国内での使用再開、海外での使用推奨を追い風にしたいところだろう。