【フレーミング効果】 (2018年8月号)


問題。「100%の確率で1万円もらえるギャンブル」と「10%の確率で10万円もらえるが、外れるとなにももらえないギャンブル」。さて、どちらを選ぶだろうか▼次の問題。「100%の確率で1万円損をするギャンブル」と「10%の確率で10万円損するが、90%の確率でなにも損をしないギャンブル」。さて、本紙の読者諸賢はどちらを選ぶだろうか▼いずれの問題も数学的な期待値は同じなのに、得・損のどちらか一方を基準に考えると正反対の判断に至ることがある。これをフレーミング効果という▼恐怖心を基準に考えた場合でも同じ効果があるという。ある心理実験によると、がん検診の重要性について「早期発見で治療の幅が広がります」とポジティブに説明するよりも、「早期発見しないと治療の幅が狭まります」とネガティブに言ったほうが、受診者が増えたという。つまり「禁煙すると長生きします」よりも、「禁煙しないと早死にします」と恐怖心を煽ったほうが効果的だというわけだ。なるほど、タバコのパッケージに印刷された文言は、まさにそういった内容になっている▼大学受験や就職試験でも同じことがいえるという。名門校や大手企業を志望する若者には「600人中400人が落とされる」などとは言わずに、「600人中200人は突破できる」と声をかけるのが効果的なようだ。