退職金を株式で支給

退職所得は現金と同様


 退職金を自社の株式で支給しても、税務上は現金で支給した場合と変わりはない。たとえば、退職する役員が1千万円相当額の株式を支給されたならば、退職所得は1千万円ということだ。

 

 非上場の中小企業では、社員が持株を売却して退職金代わりに受け取るというケースも考えられる。この場合、自分の持ち株を売却するという自己の権利を行使しているに過ぎず、退職金を支給されたことにはならない。そのため、税務上、退職所得として扱われず、税の軽減を受けられないことになる。

 

 ただし、会社が本来の評価額以上で社員の持っている株を買い取って、差額分を退職金とする場合は、評価額以上の支払い分が会社の損害を増やす行為、つまり〝利益圧縮〞と見なされるケースも出てくるため、慎重な処理が求められる。(2017/09/26)