補助金も法人税の課税対象

圧縮記帳は税金の繰り延べ


 国は企業の設備投資を促すため様々な補助金制度を設けているが、そうした補助金も税金からは逃れられない。

 

 国や自治体から交付された補助金は会社の「益金」として、法人税の対象になる。ただし、補助金で固定資産を取得したときには、税務上の特殊な処理を行うことが認められている。設備の取得価額から補助分を差し引いた額で資産計上することが可能で、例えば80万円の補助金を使って100万円の機械を買ったなら、固定資産としての取得価額はその差額である20万円となる。このように、投資した年度にかかる法人税負担を抑える処理を、会計用語で「圧縮記帳」という。補助金によって得た利益を実態より「圧縮」するというわけだ。

 

 しかし注意したいのは、この圧縮記帳はあくまで課税の〝繰り延べ〞に過ぎず、税負担がトータルで減るわけではないという点だ。取得価額が減るということは、減価償却で損金にできる額が減ることを意味する。つまり2年目以降は、圧縮記帳をしない場合より法人税負担が重くなってしまうのだ。トータルでみれば繰り延べをしてもしなくても法人税負担は同額となる。

 

 補助金を得て設備投資をした年は、会社のキャッシュフローや今後の資金繰り計画などを考慮した上で、圧縮記帳をするべきかどうかを選択しなくてはならない。なお公益法人や人格のない社団(PTAやマンションの管理組合など)については、補助金を得て取得する固定資産がたとえ収益事業のためのものであっても、補助金には法人税が課されないこととなっている。(2019/04/05)