相続税の連帯納付義務

求償権を行使しないと贈与税も


 所得税や法人税にはない相続税独自のルールのひとつに「連帯納付義務」というものがある。複数いる相続人のうち誰かが相続税を払えない場合、他の相続人が肩代わりしてでも納めなければならないというもので、借金の連帯保証人に近い制度だ。

 

 連帯納付義務を免れるには、相続放棄するしかない。そうした事態を避けるためにも。遺産分割協議ではそれぞれが負うことになる相続税額と、その納税資金まで考えておかなければならない。

 

 連帯納付義務によって相続税を肩代わりした場合、本来の納税義務者に対して立て替えた分を請求する「求償権」という法律上の権利が生じる。この権利を使うか使わないかは自由だが、相手に立替分を支払える資力があるにもかかわらず求償権を行使しないと、贈与とみなされて新たな納税義務が生じてしまう。

 

 連帯納付義務については、「自分の納税義務を適正に履行した者が、自己の意思に基づくことなく責任を負う結果となる」として、税理士団体などからは廃止を求める声もある。(2020/11/25)