死亡一時金と寡夫年金の選択

どっちが得かよく考えて


 国民年金に加入している夫が亡くなったとき、遺族基礎年金を受け取れるのは18歳までの子か、または18歳までの子がいる母親となっている。そのため、子のない妻には遺族年金が支給されないが、それでは夫が払っていた保険料が無駄になってしまう。こうした〝掛け捨て〟の状態を防止するためにあるのが「死亡一時金」と「寡夫年金」という制度だ。

 

 この両者はどちらかの選択制になっている。死亡一時金は文字通り1回払いの一時金で、保険料を納付してきた期間により12万円から32万円の幅がある。一方の寡夫年金は60歳から65歳になるまでの5年間にわたって受け取れる年金。夫が受け取れたであろう額の4分の3が支給される。仮に納付済み期間が30年であれば、年金額は年間44万円程度となる。

 

 これだけで比較すれば、圧倒的に寡夫年金がお得のようだが、日本の年金制度はそれほど簡単ではない。まず、妻が自身の老齢基礎年金を繰り上げて受給すると寡夫年金はもらえないため、繰り上げを考えているなら死亡一時金を受け取っておくべきだ。また、妻が会社勤めをしていて、60歳から老齢厚生年金を受け取るなら、寡夫年金と選択制となるため、老齢厚生年金と死亡一時金のペアを選ぶことが多くなるだろう。(2019/04/15)