暴行事件の賠償金

見舞金も非課税


 警察庁の犯罪白書によると、2016年の暴行事件の検挙数は2万5428件で、9年前の2万1463件に比べて約20%増。年々増加傾向にあるという。

 

 暴行の被害者に治療費や慰謝料、収益の補償に充てる損害賠償金などが支払われた場合、これらの金銭については非課税となる。また、常識的な範囲の金額なら見舞金も非課税とされている。ただし、治療費として受け取った金額は、医療費を補てんする金額であるため、医療費控除を受ける場合は、支払った医療費の金額から差し引かなければならない。

 

 一方、加害者として事件や事故などを起こし、被害者に損害賠償金などを支払った場合の課税関係はどうなるのだろうか。業務に関連して起こしてしまった交通事故などで、故意または重大な過失がない場合には必要経費とすることができる。これは個人の場合でも会社が加害者の代わりに払った場合でも同様だ。

 

 しかし、「故意または重過失に基づいたもの」である場合は、発生したのが業務時間内・業務時間外にかかわらず、必要経費とすることができない。従って、ひとまず会社に払ってもらい、後で返済する場合は、会社への債務という扱いになる。

 

 ただし、この債務について、事故を起こした社員が支払いきれないと判断して会社がその全額もしくは一部を貸倒れとして損金処理した場合には、貸倒れなどとした金額のうち、回収可能な金額についてのみ、その社員に対する給与として取り扱うことになる。(2018/06/22)