意外と簡単な少額訴訟制度

60万円までの請求が対象


 裁判はお金と時間と手間がかかるもの。江戸時代の格言を集めた〝親父の小言〞でも「判事はきつく断れ」と、裁判沙汰を避けるよう戒めている。

 

 しかし、金銭の貸し借りの問題ではそうもいかない。少額ではあっても、泣き寝入りするわけにはいかない。そんなケースで使える制度が「少額訴訟制度」だ。

 

 60万円以下の請求に限り、正式な訴訟よりも簡単な手続きによって裁判所を経た法的な請求手続きが行える。手続きが簡単なため弁護士に依頼する必要もなく、法律の知識がなくても訴状を簡単に作成できる。

 

 手続き費用は印紙代や郵便切手代などがほとんどで安く済む。デメリットとしては、年間に利用できるのは10回までで、回数制限があること。また相手から「通常訴訟でやりたい」と言われれば、通常の裁判による手続きをしなければならなくなる。

 

 通常の訴訟の簡易版の印象が強いが、裁判慣れしている人でなければ、少額訴訟であってもかなりのインパクトを与えることができる。内容証明による請求で払ってこない相手には使ってもいいだろう。(2020/06/22)