宗教法人も収益事業には課税

一般的な価格だと宗教性認められず


 寺院や神社などが宗教活動で得た所得には基本的に法人税が課税されないことはよく知られている。この税優遇について世間ではよく「坊主丸儲け」などと言うが、正確にいうと丸儲けの部分は収益の一部に過ぎない。

 

 宗教法人であろうとも、法人税法施行令が定める不動産貸付業や旅館業などの「収益事業」で得た利益は課税対象になる。物品販売業も収益事業のひとつで、絵はがきや写真帳、暦、メダル、ペナント、キーホルダーなどを一般的な価格で販売して得た収益には課税される。

 

 宗教法人も一般の企業と同じく源泉徴収義務者である以上、大僧正から小僧さんまで、給料から源泉徴収される。和尚さんが社務所や庫裏に無償で住んでいる場合は、「職務の遂行上やむを得ない」場合を除き、給与所得として課税対象になる。使用人に対して貸与する袈裟などの制服も無償または低額であれば同様だ。

 

 なお、税と社会保障の一体改革による番号制の施行にともない、宗教法人にも当然ながら法人番号が振られている。国税庁の検索サイトで「法隆寺」や「靖国神社」と検索すればそれぞれの番号を知ることが可能だ。(2019/09/25)