地方自治体が条例で作れる法定外税

総務大臣の「同意」で新設可


 日本国憲法84条では、新たに課税するには「法律または法律の定める条件によることを必要とする」としている。これが「租税法律主義」の根幹となっている。

 

 法律をつくる唯一の立法機関は国会だ(同41条)。そして「法律の定める条件による」というのが、地方自治体が条例に基づいて定める「法定外税」ということになる。以前は、法定外税を新設または変更するには、自治大臣(現・総務大臣)の「許可」が必要になっていた。しかし地方分権推進のため2000年に制定された「地方分権一括法」による地方税法の改正で、総務大臣の「同意」を得れば導入できることとなり、地方自治体独自の課税が容易に行えることになった。

 

 しかも、原則的には一部の例外を除いて、総務大臣は同意を与えなければならないことになっている。法定外税は特定の目的に使われる「法定外目的税」と、使途が限定されない「法定外普通税」に分けられる。

 

 法定外税は法人以外に、個人が納める場合もある。例えば2001年に日本で初めて施行された山梨県富士河口湖町の「遊漁税」は、湖畔の清掃、駐車場やトイレの整備など河口湖周辺の環境美化のために使われる法定外目的税だ。釣り客が購入する遊漁券の料金のうち、200円分を税金として支払うことになる。

 

 また近年、話題になったものに大阪府の「宿泊税」がある(17年)。同様の税は東京都で01年にスタートし、京都市でも17年に条例が可決、現在は施行待ちの状態だ。一方、制定されたものの廃止されたものには、岐阜県多治見市の「一般廃棄物埋立税」や東京都杉並区の「すぎなみ環境目的税」がある。

 

 法定外税は地方分権の強化と財源の充実に繋がるが、導入している地方自治体は多くない。大きな税収が見込めない上、納税者を納得させる理由を説明するのが困難だからだ。山梨県の「ミネラルウォーター税」も話題になったものの棚上げ状態が続いている。(2018/07/30)