土地の無償貸与は要注意

特例使えず相続税負担増


 自分の所有地に建物を建て、その建物を息子に貸し付けたとする。当初は息子から適正な家賃をとっていたが、途中から家賃を受け取らない賃借契約、いわゆる〝タダ貸し〟に切り替えた。こうしたケースでは、相続発生時に思わぬ税負担が生じる可能性がある。

 

 土地を相続する際に、評価額を抑えられる特例として最も一般的なのが「小規模宅地の特例」だ。その宅地に被相続人が住んでいるか事業に使っていれば、最大で評価額を約8割も減らせるため、不動産の相続税対策を考える上でこの特例を外すことはできない。

 

 小規模宅地特例では、「事業と称するに至らない不動産の貸し付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うもの」についても、適用を認める規定を置いている。ところが逆に言えば、文中にあるように「相当の対価を得て」いなければ、その土地は小規模宅地特例を使えない。つまり、家賃を取らない〝タダ貸し〟は、事業用にも居住用にも該当せず、相続税の負担が大きく増えることになってしまうわけだ。(2021/04/09)