同居していなくても「扶養」

内縁の妻の子は養子縁組が必要


 「結婚して仕事を辞めて扶養に入る」という言葉を耳にすることがある。しかし、この「扶養」という言葉をきちんと理解できていない人は意外にも多い。扶養親族を理解したうえで確定申告や年末調整にのぞみたいものだ。

 

 扶養とは、簡単に言えば誰かを養っていることを指す。被扶養者といえば、すなわち養われている人だ。誰かを養うためには経済的な負担がかかるため、所得税法ではその負担に応じて、一定額を控除する仕組みとなっている。

 

 この扶養親族には、①16歳以上、②生計を一にしていること、③配偶者以外の親族であること、④年間合計所得金額が38万円以下であること――などの条件があるが、この「生計を一にしている」とは、同居していなくても、常に学費や医療費なども含めた生活費を送金しているケースなら当てはまる。

 

 親元を離れて一人暮らしをしている大学生の娘への仕送りなどのケースだ。また、親族とは民法上の定義で、6親等以内の血族と3親等以内の姻族親族を指す。このため内縁の妻の子どもなどは、養子縁組をしない限り対象にはならない。

 

 合計所得金額の38万円は、収入金額ではないので注意したい。所得とは、収入から必要経費を差し引いた後の金額を言う。パート・アルバイトでの合計所得38万円以下とは、収入でいうと103万円以下のことになる。給与所得のみであれば、基礎控除額の65万円があるため、収入が103万円以下であれば問題ない。大学生などのアルバイトの収入に注意したいところだ。(2017/07/31)