助成金を活用して人材確保

設備投資とセットで検討


 「業務改善助成金」は、中小企業・小規模事業者が事業所内で最も賃金の低い人の給料を上げた上で、何らかの設備投資をすると、最大100万円の助成金を受け取れるというもの。賃上げの対象となる人数、賃上げ幅、設備投資による生産性の伸びなどによって助成額が変動する。

 

 助成金を受け取るために必要な賃上げ幅は、事業場内最低賃金が800円未満であれば30円以上、800円以上1000円未満であれば40円以上だ。すでに最低賃金が1000円を超えていれば助成金の対象からは除外されてしまう。最低賃金の判定にはアルバイトなども含める。

 

 助成率は常時使用する従業員が会社全体で30人以下なら設備投資費用の4分の3(75%)、それ以外なら10分の7(70%)となる。上乗せ措置として、設備投資によって3年間で生産性が6%以上伸びるなら、30人以下の事業所は5分の4(80%)に、それ以外の事業所は4分の3(75%)まで引き上げられる。

 

 助成の上限額は最低賃金を引き上げる人数に応じて、3人までなら50 万円、4〜6人なら70万円、7人以上なら100万円と変わる。ただし改定前の最低賃金が800円を超えているなら、人数にかかわらず上限は70万円固定となっている。

 

 賃上げとともに助成金を受け取るための要件となっているのが設備投資だ。設備の種類は幅広く認められるので、自社に合ったものを検討してみたい。実際に助成金を受けた企業の実例を見ると、例えば従業員数6人の葬祭業者は自社ホームページ上で利用できる簡易見積もりシステムを導入している。見積作成時間の効率化に加えて、手軽に費用を確認できることで実際の成約率も向上したそうだ。

 

 消費増税と同時に8%と10%を使い分ける複数税率が導入される。複数税率対応のPOS(販売情報管理システム)を導入する際に、業務改善助成金の活用を検討してもいいかもしれない。ちなみに2018年度の全国の最低賃金の平均は874円で、最高が東京都の985円、最低が鹿児島県の761円となっている。(2019/01/07)